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The Float

Nikki of タンザニア キリマンジャロ州 Oshara Secondary School と音楽その他

空の飛び方 -コンドア漂流編-

サンヤジュウ-ババティ-コンドア

 

朝5時に起きる。6時半くらいに出発。

ドドマ行きを当日券で探したが、無い。Umechelewa(あんた遅れたよ!)と言われたので、珍しく遅れずにバスが出たんだろう。ダルエスサラームに行くバスはいつも遅れるのに。

バス会社のおばさんの機転で、マニャラ州の州都「ババティ」に行き、乗り継ぎでコンドアを目指す。

ボロい割に座席が広い長距離バスで、アルーシャ経由で約5時間。ババティに到着。山の中腹にある街でゴミが少ない。フラミンゴで有名なマニャラ湖は遠いらしい。そこから、コースターでコンドア行きに乗る。

 

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(6時間なんかじゃつかねえよ)

 

 

山の間をはしる真っ直ぐすぎる道路で、スピッツを聞いていた。「空の飛び方」と「Crispy!」。いつ聞いても最高なアルバムだ。

 

「不死身のビーナス」のシンプルすぎる8ビートのドラムと、ブリッジミュートの歪んだギターが、窓の外の景色を一瞬で吹き飛ばしていった。

www.youtube.com

 

 

シンプルなギターポップの「空の飛び方」が終わって、walkmanは「Crispy!」に続いて行く。今日何度目かの眠りに落ちそうに退屈なバスの中、太陽はその支配を終えて、薄暗い灰色の雲にオレンジの光を拡散させていた。

 

いい曲は千回聞いても飽きない。

はじめはグルーヴに体をまかせる。全体を頭を空っぽにして。次は各楽器に身体を引き込ませる。そうすると、はじめは見えなかったグルーヴの魔法の構成要素が見えてくる。ベース、ドラム、ストリングス、ホーン、ギターの順で、イタコみたいに憑依されにいく。

 

歌だけは、その範疇外で全体を聞いてる時にでないと歌詞は意味を持てない。今度はマサムネの歌に脳を集中させる。

 

街は夜に包まれ行き交う人魂のなか

大人になった哀しみを見失いそうで怖い    「君だけを」from Crispy!

 

ふっと歌が本来の言葉としての意味を持ちはじめる。ああ、そうだ、俺は大人になった哀しみを見失いかけていた。ディランのライブに行った時、初めて気がついた老いへの嫌悪が蘇る。それは「いつの間にか大人になっていく」、なんて陳腐なノスタルジーではない。ただの嘔吐するような嫌悪感。なまくらになった刃物を見るときの嫌悪。

ただ、いずれそうなることは死以外では逆らえない。その哀しみを、日々の慣れたコミュニケーションで見ぬふりをして埋没させていたことに気づかされたのだった。その感情を暴かれたことに呆然としながら、陽は落ちていった。

 

 

コンドアは、ただの田舎町で、もし無作為に抽出されたタンザニアの田舎町に着いていたとしても区別がつかないだろう。世界遺産の看板も、どっかの州の事務所みたいに寂れている。偉そうな所だけを残したままに。

アクセスが悪すぎるからだろうか、外人向けのホテルもないし、レストランもローカルしかない。よくこんなところユニセフは見つけたもんだなあ。あれ?国から申請するんだっけ?

 

 

翌朝、世界遺産のコロ村に向かう。コンドアの人はあまり移動しないのか、バスの本数がやたらと少ないし、高い。乗合バスは存在しないようで、長距離バスに乗ってコロ村で途中下車する。

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コロ。よくあるドドマ的な、公園の砂場のデコボコを岩に変えたような土地だ。絵のあるところまで歩いて行くかバイクタクシーで行くかと言われ、徒歩を選択。そもそも僕らはバイクタクシーを乗ることは禁止されている。

 

Kwenda na kurudi ni km 6.(行って帰るまで6kmだよ)

Kwa miguu ni ongeza elfu kumi.(徒歩なら1万シリングガイド代増やしてね)

 

なぜバイクで行く時と徒歩で行く時のガイド料が違う・・・・。外人なら普通に払ってしまうだろう。が、さすがに二年近く住んでいればスワヒリ語もそこそこ喋れる。値段交渉が始まる。「国が金を払わないから、ガイドが大変なんだ」「そりゃ俺の問題じゃない、ストライキするなりして国に言え」と延々・・・・。あんまり値切りすぎて、ガイドでなく道案内人になられても嫌なので、俺の主張と彼の主張の中間点で手を打つ。

 

 

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あるく。

 

歩く。

 

walk。

 

tembea。

 

おい、どこが往復6kmだ!

 

 

そして歩いた先にあったもの、それは・・・・。

 

 

 

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90MINS WALK, DAKIKA 90 KWA KUTEMBEA

(世界遺産 コロのロックアート、このさき徒歩90分)

 

この先って、山じゃねえか・・・じ、地獄か・・・!

ガイドは「腹減って死にそう」と言いながら、ひたすらその辺の木の実を食っている。「ガイドさん、これ100パー片道6kmだよね、往復12kmだよね」

「ああ、そうかな~、腹減ったー」

会話にならん。

 

そして、登った先にあったもの、それは

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ガイド「これ、ラスタ」

 

んなわけあるかい!

4千年前にラスタがいるか!そもそもキリストも居ねえわ!!

 

何箇所か、こういった壁画がある。キリンやバッファロー、豚皮の着物を着た男、踊る女、等々が描かれている(らしい)。(ぶっちゃけ、特に感動はない。4千年前!?嘘つけー。くらいの勢いである。)

 

唯一興味深かったのは、その絵の顔料である。

「なんの原料で描かれてんの?」

「動物の血と脂肪、石、etcを混ぜて作っているらしい。だが、今同じように作った顔料は、すぐに水で流れてしまうんだ。なにかの魔法があるんだよ」

 

かすかに見える絵画は、60,70年代はもっとくっきり残っていたそうだ。ただ、観光地化するにしたがって、絵をよくみせるように水をかけていたらしい。世界遺産に認定されたことで水撒きは禁止されたが、そいつがまずかったようで、今じゃほとんど残っていない絵も多数ある。

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バオバブの家もあるらしい。完全にダゴバのヨーダだ・・・!!!)

 

 

もうコンドアというあまりに無個性な街が嫌になっていたのもあり、早くドドマに移動しようと考えた。コロのツアーオフィスに戻って、帰りのトランスポートを聞く。

「街への移動手段?そんなもんバイクに乗るか、ヒッチハイクしかねえぞ」

 

絶句・・・・。

 

結局、どうしようも帰れないのでガイドと一緒に人生初ヒッチハイクをすることに。3,4台に素通りされたあと、一台の車が止まってくれる。「助かった!」とおもい駆け寄ると、中国人がお二人。そのうち一人は英語が少しわかるようで(助かった!)挨拶をしてのっけてもらう。

 

中国の方に挟まれながら2,30分。載せてもらって無言でいてはいけない、とおもって「中国のどこ出身ですか?」と聞く。かなりのなまりでうまく聞き取れないが「多分知らないとおもうけど、ナンジンの近くだよ」と答えてくれる。

ナンジン・・・。たしか北京は英語でベイジンなはずだ。京が「ジン」ならナンジンは・・・南京か!

 

我ながら今日は推理力が冴えている。だがしかし、南京の関連ワードとして頭に出てくるもの、それは、南京虫南京大虐殺しかない。中国人の方とコミュニケーションを取る事自体初めてに近いのに、初対面で戦争の話しなぞできるはずがない。

 

また沈黙する。

チャーハンの話しでもしようか・・・いや、膨らまないよなぁ。ラーメンは・・・あれはもう日本化されすぎてて通じないだろう・・・・。ええっと・・・・。

 

考えている間に街に着いた。

 

「着いたよ」「ありがとうございます!謝謝!謝謝サーナ!」とお辞儀をして別れた。別れたあとに、三国志の話とか項羽と劉邦の話すればよかったなぁ、と気づいたのだった。中国人のお二方、載せて頂き本当にありがとうございました。

 

コンドア。

景色は良い。ハイキングとして行くなら楽しめるだろうが、絵のみを目当ての場合肩透かしを食らうだろう。特に他のアクティビティもなさそうなので、面白さ★★☆☆☆

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